陸奥の国より当処を過む僧壱人、夜道に、下野の国那須野の辺に草廬の有けるに、
立寄り、湯乞ければ亭坊もなく、人の死骸山の如く積たり。
恐ろしく逃出さんとする後より、
持仏堂の扣なる所の障子一間を明け、くすくすと鼻引く音しけるに驚き見けるに、
形、斯くの如し。猫またの類ひならん。



縦25.1p×横1046.2pのこの絵巻には33点の各地に伝わる怪奇譚が描かれている。
おもに九州地方の話が多く、外人を風刺?したと思われるものもある。



 戻る