猫奇伝
    魔性の動物…「猫」の秘密
  
     
   可愛いだけが
  猫じゃニャィ!















猫の諺・喩・慣用句・その他 国内編 


誰もが知っているものから、意外と知られていないものまで数多く集めてみました。
これだけ諺が多い動物も珍しいのではないでしょうか?
猫すごすぎ!。


猫のことわざ・たとえ 他

猫と女のことわざ・たとえ 他

猫と犬のことわざ・たとえ 他

猫と好物のことわざ・たとえ 他

猫と鼠のことわざ・たとえ 他

猫と芸者・遊女のことわざ・たとえ 他

悪口・はやし言葉

その他

しゃれた言い回し

犯罪用語・隠語

性語

呼び名






猫のことわざ・たとえ 他



猫になっとる  ねこになっとる    
   猫のようにおとなしくなっている。    
   本心をかくして、おとなしくしていること。



猫の額  ねこのひたい   
   土地の面積の狭い事のたとえ。



猫面  ねこおもて 
  顔が短い事。馬面の反対。


同じ猫の面  おなじねこのつら   
   物事を比べてみて、どれも短くて不足だという場合に用いる。



猫の目  ねこのめ
猫の目のよう  ねこのめのよう   
   猫の瞳は明るさによって形を変えるところから、移り変わりの激しい事のたとえ。



猫の鼻  ねこのはな    
   常に冷たい物のたとえ。


猫に九生あり  ねこにきゅうしょうあり
   猫は九回も生まれ変わる。
   猫を執念深いものとする考え方。


猫の鼻と愛宕山は真夏でも冷ゆる  ねこのはなとあたごやまはなつでもひゆる   
   猫の鼻と愛宕山(京都)は真夏でも冷気を感じる。



猫の鼻と女の腰の温かい事はない  ねこのはなとおんなのこしのあたたかいことはない
   猫の鼻と女の腰はいつも冷たい。



猫の鼻と女の尻は大暑三日の外は冷たい  ねこのはなとおんなのしりはたいしょみっかのほかはつめたい   
   猫の鼻と女の尻は大暑(もっとも暑さの激しい頃)の三日間以外は一年中冷たい。



猫は土用に三日鼻熱し  ねこはどようにみっかはなあつし
   猫の鼻は土用三日の外は冷たい



猫の歯に蚤  ねこのはにのみ   
   猫が蚤を噛み当てることはまれであることから、めったに無いこと、不確かな事をたとえていう。



猫の恋  ねこのこい
   交尾期の猫。その行動を云う事もある。



猫舌  ねこじた
  熱い食物を食べる事ができないこと。


猫背  ねこぜ
猫がでている  ねこがでている
   一般に首を出し背中を丸めた姿勢をいう。傴僂のこともいう



末っ子は猫の尻尾  すえっこはねこのしっぽ   
   家を継ぐこともない末っ子が何の役にも立たないことは、猫の尻尾のようなものだということ。



有っても無くても猫の尻尾  あってもなくてもねこのしっぽ   
   あってもなくても、どちらでもかまわないもののたとえにいう。



猫の尻尾  ねこのしっぽ   
   無くて良い物をたとえていう。



おんじと猫の尾っぽ有れ無かれ  おんじとねこのおっぽあれなかれ   
   【おんじ…次男以下の男をいう方言】   
   次男以下の男子と猫の尻尾はあっても無くても良いものである。(青森)



猫の尻へ才槌  ねこのしりへさいづち
さいづちで猫の尻を打ったよう  さいづちでねこのしりをうったよう
才槌で猫の尻を打つよう  さいづちでねこのしりをうつよう   
   【才槌→小型の木の槌】     
   
さいづちで猫の尻を打つ事は、その大小が伴っていない。
   大小がふさわしくないことのたとえ。

   不似合いなさま。大げさなさまの形容にいう。


猫の食残し  ねこのくいのこし   
   猫は餌を全部食べずに食い残すくせがある。   
   幼子の食べ残しをたとえていう 。
   食い散らかした様子をたとえていう。



猫の泣き食らい  ねこのなきくらい   
   猫が鳴きながら食うように、泣きながら食べる事をいう。



猫なで声  ねこなでごえ    
   やさしく甘えた語調。甘える為に出す、優しそうなわざとらしい声。
   人の機嫌を取ろうと優しく媚びる声。



猫またぎ  ねこまたぎ    
   魚好きの猫でさえ見向きもしないような悪魚のこと。

  不味くてとても食えないような食物。
  竹輪・蒲鉾の隠語として使われる場合もあり。


猫また  ねこまた
  塩鮭の事。(昔は塩鮭が非常に安価だった為。)



真猫  しんねこ
  最も静かに行うこと。しめやかに振舞うこと。


猫かわいがり  ねこかわいがり
   猫を可愛がるように。
   甘やかして、むやみに可愛がること。



猫の昼寝に油断すな  ねこのひるねにゆだんすな   
   油断を戒めるたとえ。



猫の逆恨み  ねこのさかうらみ
   人に助けられてかえって相手を恨む事。



猫が熾(おき)をいらう   ねこがおきをいらう
   【熾→炭火。いらう→いじる】
   猫が炭火にちょっちょっと手を出していじる。
   ちょっかいを出す事のたとえ。


猫が胡桃を回すよう  ねこがくるみをまわすよう
   猫がクルミをもて遊んで回すよう。
   ちょっかいを出したり、じゃれついたりするさまのたとえ。



猫が手水を使うよう  ねこがてみずをつかうよう
   猫が顔を洗うようである。
   ごく簡単に顔を洗う事のたとえ。



猫糞  ねこばば
猫糞を決める  ねこばばをきめる
猫が糞を隠したよう  ねこがばばをかくしたよう
猫が糞を踏む  ねこがばばをふむ
猫の糞を踏んだよう  ねこのばばをふんだよう
猫糞でしゃあしゃあまじまじ  ねこばばでしゃあしゃあまじまじ  
   悪事を隠して知らぬ顔をすることのたとえ。
   拾い物などをして、それを届けたり返したりしないで、
   自分の物として素知らぬ顔をすること。   
   猫が糞をした後、手足で砂をかけてそれを隠すからとも(猫糞)、
   徳川中期、本所に住んでいた猫好きの老婆が 欲張りであったからともいう(猫婆)。



猫が糞を齧るよう  ねこがばばをかじるよう
  地面をあちこち引っ掻き回すさまのたとえ。



猫から釣りを取る  ねこからつりをとる
   猫以上である。猫をしのぐほどである。  
   大変におとなしい事のたとえ



庄屋と赤猫に油断すな  しょうやとあかねこにゆだんすな   
   油断するとすぐ足許に付け込んでくるから、庄屋には注意せよということ。   
   赤猫は盗賊仲間の隠語で、火事や放火する事をいう。



猫と庄屋に取らぬは無い  ねことしょうやにとらぬはない  
   鼠を捕らぬ猫はなく、わいろを取らぬ庄屋はないということ。  
   上前をはねる者に対して返す言葉。



猫は長者の生まれ変わり  ねこはちょうじゃのうまれかわり   
   猫は前世において長者であった人の生まれ変わりである。   
   猫は長者のように眠ってばかりいるところからいう。



猫に小判  ねこにこばん
猫の前へ小判  ねこのまえへこばん
猫に石仏  ねこにいしぼとけ
猫の耳に小唄  ねこのみみにこうた
猫に念仏、馬に銭  ねこにねんぶつ、うまにぜに
牛に麝香、猫に小判  うしにじゃこう、ねこにこばん   
豚に念仏、猫に経  ぶたにねんぶつ、ねこにきょう
鬼に念仏 猫に経  おににねんぶつねこにきょう
   高価なものを与えても、何の効果も反応も無い事のたとえ。
   またどんな貴重なものでも、その価値がわからない者に与えては、何の役にも立たない事のたとえ。



猫に経  ねこにきょう   
   何の反応もない事のたとえ。   
   また、物の価値がわからない事のたとえ。



猫に唐傘  ねこにからかさ
   猫の前でたたんだ傘を急に開いてびっくりさせること。   
   驚くこと。また、嫌がることなどのたとえ。



猫に傘見せたよう  ねこにかさみせたよう
   不興なさま。不機嫌なさまをいう。


猫に紙袋  ねこにかみぶくろ  
猫の頬冠  ねこのほおかむり
   後ずさりすること



紙袋を被った猫のよう  かみぶくろをかぶったねこのよう   
   物事が後に戻る事のたとえ。   
   後ろへ下がるさま、徐々に後退するさまにいう。



猫に憎まれれば引っ掻かれる  ねこににくまれればひっかかれる
   おとなしい猫でも、人を憎むとひっかくことがある。
   人から恨みをかうと、いいことはないということ。



猫に毬  ねこにまり   
   じゃれることをいう。



猫の魚辞退  ねこのうおじたい
猫の精進  ねこのしょうじん
猫の魚食わぬふり  ねこのさかなくわぬふり
猫のうるめ斟酌  ねこのうるめしんしゃく  
   長続きしない事。また、内心は望んでいながら、うわべだけ断る事のたとえ。



猫の寒恋い  ねこのかんごい   
   寒がりの者でも、さすがに真夏には冬の寒さを恋しがるという事。
 


猫の子一匹いない  ねこのこいっぴきいない   
   人が全くいない事をたとえていう。



猫の子の貰いがけ嫁の取りがけ  ねこのこのもらいがけよめのとりがけ   
   猫も嫁も、貰った当座は大切にされること。   
   初めのうちだけかわいがること。



猫の子はなぶると痩せ犬ころはなぶると肥ゆる ねこのこはなぶるとやせいぬころはなぶるとこゆる
   猫の子は人に触られるのを嫌がり、犬は撫でられるのをよろこぶこと。



猫の子もただでは貰えぬ  ねこのこもただではもらえぬ   
   何を貰うにもただという事はなく、礼がいるということ。



猫の子を貰ったよう  ねこのこをもらったよう   
   養子をとったり結婚したりするとき、慎重な考慮もなく無造作に事を運ぶことをいう。



猫の逆恨み  ねこのさかうらみ   
   ねこは執念深くて、恩を受けてもかえって恨むことから、人に助けられかえって恨むことをいう。



猫の死んだがほど  ねこのしんだがほど   
   ごくわずかであること。量のすくないこと。



猫のちょっくり三軒  ねこのちょっくりさんけん   
   【ちょっくり→わずかの時間の経過・身軽な動き】    
   ちょっとの間に猫は三軒も歩いてしまうということ。



猫は家にばかり居るようでも七軒歩く  ねこはいえにばかりいるようでもひちけんあるく
   猫は近所をくまなく歩き回る事。

猫に粥餅  ねこにかゆもち   
   熱いものが苦手な猫に煮えたぎる粥餅を与えたよう。   
   手も足も出ないことのたとえ。



猫の手さ餅  ねこのてさもち
猫の手さまま  ねこのてさまま   
   猫の手に餅が付いたよう。   
   不器用なこと、また、手におえないことのたとえ。



猫の手も借りたい  ねこのてもかりたい   
   猫の手助けでもほしい。非常に忙しく、いくらでも人手がほしいさまをいう。



猫の手も人の手  ねこのてもひとのて   
   猫の手も人の手助けにほしいくらいである。非常に忙しいさまをいう。



五月の中の十日、猫の手でも欲しい  ごがつのなかのとおか、ねこのてでもほしい   
   陰暦五月中頃は、農繁期で極めて忙しい時期である事から、極めて忙しいさまをいう。



大晦日は猫の手も借りたい  おおみそかはねこのてもかりたい   
   大晦日の忙しさにいう



節季師走は猫の手も借りたい  せっきしわすはねこのてもかりたい   
   盆暮には誰でもいいから手伝いが欲しい。この時期の非常に忙しくなることをいう。



猫馬鹿坊主に火吹き竹  ねこばかぼうずにひふきだけ   
   囲炉裏の奥正面の座に主人以外で坐るのは、猫と愚か者と僧侶と火吹き竹ぐらいなものである。   
   主人の座には家長以外の者が坐るべきではないということ。



猫馬鹿坊主  ねこばかぼうず
猫と阿呆は横座に廻る  ねことあほうはよこざにわまわる
   
家の中で主人の席と決まっている横座に座ること。


猫は三年の恩を三日で忘れる  ねこはさんねんのおんをみっかでわすれる   
   猫は三年飼われた恩を三日で忘れる。   
   猫が人の恩をすぐ忘れることにいう。



猫は土離れ三寸にして身をかわす  ねこはつちばなれさんずんにしてみをかわす   
   猫を高いところから落としても身軽く着地する事をいう。



逸物の猫は爪を隠す  いつもののねこはつめをかくす
上手の猫が爪を隠す  じょうずのねこがつめをかくす
猟ある猫は爪を隠す  りょうあるねこはつめをかくす
猟よし猫爪を隠す  りょうよしねこつめをかくす
能ある猫は爪を隠す  のうあるねこはつめをかくす
能ある猫は爪を研がず  のうあるねこはつめをとがず   
   優れた才能や力のある者は、平素それをむやみに人にひけらかすようなことはしないというたとえ。



猫は虎の心を知らず  ねこはとらのこころを知らず   
   猫のような小さい動物には、虎のような大きな動物の心は理解できない。   
   小人物には大人物の考える事はわからない事をたとえていう。



猫は禿げても猫  ねこははげてもねこ   
   猫は毛が抜けても猫であることに変わりがない。
   世の中には特別変わったことは起こらないものであるということ。



猫は三月を一年とす  ねこはみつきをひととせとす   
   人間の三月は猫の一年にあたる。   
   猫や犬の成長の早い事をいう。



猫も三文  ねこもさんもん   
   昔、十一月八日の夜に家中の者が集まり、各自持ち合わせの金を出して、
   その金額に応じた御馳走を食べて遊んだ行事。
   金を払わないで食べる事はできず、飼猫でも三文出すというところからこう呼ばれたという。



猫も杓子も  ねこもしゃくしも   
   何もかも。誰もかれも。



猫も茶を飲む  ねこもちゃをのむ   
   猫でさえ茶を飲んで一休みする。   
   生意気に分相応なことをするたとえ。



猫も跨いで通る  ねこもまたいでとおる   
   魚の好きな猫でさえ、無視して跨いで通る。   
   活きの悪い魚、味の悪い魚、また、魚好きで食べ方の上手な人の残した、身が綺麗に取られた魚の骨をいう。



猫より増し  ねこよりまし  
   猫よりは役に立って、少しはましであるということ。   
   子供などが時に役に立つことがある場合にいう。



猫を追うより皿をひけ  ねこをおうよりさらをひけ   
   魚を盗まれぬよう猫を追い払うより魚を取りのけるほうがよい。   
   末梢的な事にこだわらず根本を正せというたとえ。



猫を被る  ねこをかぶる
猫になっとる  ねこになっとる   
   うわべは猫のように柔和にする。本性を隠しておとなしそうに見せる。また、知っていながら知らないふりをする。



猫撫で声に油断をするな  ねこなでごえにゆだんをするな
猫なで声に油断ができぬ  ねこなでごえにゆだんができぬ   
   猫撫で声を出すような人は、心に他意を持つことが多く油断できない。


猫撫での姑時時目が変わり  ねこなでのしゅうとときどきめがかわり     
   姑が嫁に優しい声ではなしていても時々目だけは本心をあらわしていること。   
   猫の目が良く変わる事にかけている。



猫又の化けたような面  ねこまたのばけたようなつら   
   大変に人相が悪いことをいう。



秋の雨が降れば猫の顔が三尺になる  あきのあめがふればねこのかおがさんじゃくになる
冬の雨が降れば猫の顔が三尺のびる  ふゆのあめがふればねこのかおがさんじゃくのびる
寒の雨が三日続けば猫の顔が三尺になる  かんのあめがみっかつづけばねこのかおがさんじゃくになる   
   雨の日は暖かなので、寒がりの猫が顔を長くして喜ぶのをいう。
   また一説に、秋の長雨には猫でさえ退屈するの意とする。



馬は赤馬、牛は黒牛、猫は雉猫、犬は白犬  
                     うまはあかうま、うしはくろうし、ねこはきじねこ、いぬはしろいぬ   
   それぞれ最もよい毛色とされるもの。



うんと跨いで猫の糞ふんづけた  うんとまたいでねこのくそふんづけた   
   あいてのした「うん」という返事をまぜっかえして言う言葉遊び。



蚕を飼えば猫を飼え  かいこをかえばねこをかえ
   蚕を飼うなら、その敵の鼠を捕る猫を飼う必要がある。
   物事をするには、それに伴う段取りが必要だというたとえ。



借りて来た猫  かりてきたねこ   
   平素と違い、おとなしく、小さくなっている様子のたとえ。



堪忍を猫に教える  かんにんをねこにおしえる   
   おとなしい猫にまで堪忍を教えるということで、きわめて忍耐心の強いたとえ。



公家の子と猫の子は何ぼあっても廃らぬ  くげのことねこのこはなんぼあってもすたらぬ
   公家の子も、猫の子も、貰うのを喜ぶものが多かったことから、いくら多くても困らない事をいう



子供も猫よりまし  こどももねこよりまし   
   子供も時には役に立ち、食べるだけで何もしない猫よりはましである。



酒の席には狆、猫、婆  さけのせきにはちん、ねこ、ばば
狆猫婆子供いやいや  ちんねこばばこどもいやいや   
   楽しかるべき酒席で、興ざめなものとして忌み嫌うもの。



皿嘗めた猫が科を負う  さらなめたねこがとがをおう   
   魚を食った猫は逃げてしまって捕らえられずに、あとから行って皿を嘗めた猫が罪を背負いこむ。
   大悪人や主犯は捕まらずに、小物や従犯だけが罰を受ける事のたとえ。



たくらだ猫の隣歩き  たくらだねこのとなりあるき   
[たくらだ→まぬけ・愚か者]   
   愚かな猫が近所を遊び歩いてよその鼠はとっても自分の家のは取らない事。   
   よその用を手伝っても自家の用をしないこと。   
   役に立たない事ばかりするたとえ。



珍糞漢糞猫の糞  ちんぷんかんぷんねこのくそ   
   さっぱり訳がわからないこと。



勤めは面の皮、三味は猫の皮  つとめはつらのかわ、しゃみはねこのかわ   
   浮世の勤めは、面の皮の厚さが肝心である。
   …「三味は猫の皮」は、語呂を合わせて添えたもの。



泥鰌猫にとられた、うぬが馬鹿でとられた  どじょうねこにとられた、うぬがばかでとられた
   【うぬ…罵りの気持ちで相手を呼ぶ語】
   うかつで、不注意なものをあざける言葉。



隣の猫を一昨日叩いたような顔している  となりのねこをおとといたたいたようなかおしている   
   まぬけな顔をしていることのたとえか?



猫にもなれば虎にもなる  ねこにもなればとらにもなる   
   時と場合によって、優しくもなれば猛々しくもなること。



猫の居るのは屋根の上、烏の居るのは木の上  
               ねこのいるのはやねのうえ、からすのいるのはきのうえ
   ものにはそれぞれの居場所がある。


猫の首に鈴をつける  ねこのくびにすずをつける
   あえて危険を冒して実行する事。


疑う目には猫も虎  うたがうめにはねこもとら   
   疑いの目で見ると小さい事でも大きく見えてしまうこと。



虎を描きて猫に類す  とらをえがきてねこにるす   
   猛虎を絵にかいてみても、その真の姿を表現する事が出来ず、
   まるで猫のように力のないものになってしまう。
   力量のないものがすぐれた人の真似をしてかえって軽薄になったり、
   あまりに高遠なものを求めた為に不成功に終わったりすることをたとえていう。



猫は虎の心を知らず  ねこはとらのこころをしらず
   小人に大人物の考えはわからないというたとえ。


兄のものは猫の椀まで  あにのものはねこのわんまで  
   長子の相続制度では、総領は甚六でも父の遺産はすべて相続することをいう。



婿猫軽子世の中の業たかり   
   婿と猫と下男の三つは、夜の中でも横着で浅ましいものであるということ。


馬鹿猫が灰をかましたよう  ばかねこがはいをかましたよう   
   時折、猫が夢中になって囲炉裏の灰を掻きまわすさまから、
   無駄な事にやっきになって動き回ることをたとえていう。(津軽)



男猫一匹膝にも乗せぬ  おねこいっぴきひざにものせぬ   
   男性を一切寄せ付けず、貞操を堅持するたとえ。



狸鼓を打てば猫又舞う  たぬきつづみをうてばねこまたまう
   【猫又…年老いた猫の妖怪】
   気味の悪い事が一つ起きると、続いて次の気味の悪い事が起こるというもの。



河豚食った猫の腰  ふぐくったねこのこし
   フグの毒にあたった猫のように腰抜けだという事。


猫魂が入る  ねこだまがはいる 
   急に働くようになった人の事。


男猫が子を産む  おとこねこがこをうむ
  ありえないことのたとえ。



叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼え
  想いの叶わぬ恋に憂き身をやつすよりは、
  犬や猫を飼った方がましである。
  転じて、愚かな事にいつまでも心を労するのは馬鹿げている、
  やめよというたとえ。


猫と嫁は近所から貰うな  ねことよめはきんじょからもらうな
   頻繁に生家に通う事になるから。


子無き人は必ず猫を愛す  こなきひとはかならずねこをあいす   
   子供のない人は必ずと言っていいほど猫を可愛がる。



主の好きには盲猫まで三匹飼う  あるじのすきにはめくらねこまでさんびきかう
   主人の意見には何人も反対する事ができないというたとえ。



猫を一疋殺せば七堂伽藍を建立したるより功徳あり
  (仏典を齧る鼠を捕ることから)
  「これほどに仏教に功労のある猫を一匹でも殺したりすれば、
  たとえ七堂伽藍を建立したとしても功徳は無い。」…というのが
  もともとの意味との説あり。



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猫と犬のことわざ・たとえ 他


犬と猫  いぬとねこ
   仲が悪い事のたとえ



犬の身は寒に三日寒し、猫は暑に三日熱し  
                  いぬのみはかんにみっかさむし、ねこはしょにみっかあつし   
   犬は一年中寒がらないが、猫は年中寒がるということ。



犬は人に付き、猫は家に付く  いぬはひとにつき、ねこはひとにつく   
   主人が引っ越しをする際、犬は主人について家を去るが、猫は主人につかずに、その家に残るということ。



犬猫にも馴染めば思う  いぬねこにもなじめばおもう   
   かわいがれば、犬や猫でもよくなついて主人のことを思う。   
   犬や猫でも親しくなれば愛情がわく。   
   恩知らずを戒める言葉。



犬猫の鼻先のよう  いぬねこのはなさきのよう   
   いつもぬれているさま。



犬こがごうなら猫こもごう   いぬこがごうならねここもごう
   【ごう→乞食】
   犬が乞食ならば猫も乞食という意味から、全てを平等に扱えの意。(筑前地方)



犬猫も三日飼えば恩を忘れず  いぬねこもみっかかえばおんをわすれず
犬猫も三日扶持すれば恩をわすれず  いぬねこもみっかふちすればおんをわすれず   
   犬や猫でも三日飼えば主人の恩を忘れない。まして人間が恩を知るのは当然である。   
   恩知らずを戒める言葉



犬に念仏猫に経  いぬにねんぶつねこにきょう   
   どんなに道理を説いて聞かせても効果がなく、無駄であることのたとえ。




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猫と女のことわざ・たとえ 他


女の心は猫の眼  おんなのこころはねこのめ   
   くるくる変わりやすい猫の眼に女心をたとえたもの。



女の腰と猫の鼻はいつも冷たい  おんなのこしとねこのはなはいつもつめたい   
   女の腰部が冷えやすいところからきたたとえ。



女の怖がると猫の寒がるは嘘  おんなのこわがるとねこのさむがるはうそ
猫の寒がると女の怖がるは嘘  ねこのさむがるとおんなのこわがるはうそ   
   猫が寒がるのと、女が男に声をかけられて怖がるのは本心ではない。  
   ともによく見せる動作だが、内心と違う事がある。



女の寒いと猫のひだるいは手の業  おんなのさむいとねこのひだるいはてのわざ   
   女が寒がるのと、猫が空腹がるのはいつものことだという意。



女の尻と猫の鼻は土用三日暖かい  おんなのしりとねこのはなはどようみっかあたたかい
   普段冷たいものでも、さすがに暑い最中は暖まる。



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猫と好物のことわざ・たとえ 他


猫に鰹  ねこにかつお
猫に鰹節  ねこにかつおぶし
猫の額に鰹節  ねこのひたいにかつおぶし
猫に生鰯  ねこになまいわし
猫の額に生鰯  ねこのひたいになまいわし
猫の鼻に魚  ねこのはなにとと
魚の番に猫  さかなのばんにねこ   
   好物をそばにおいて、油断ができないこと。   
   過ちが起こりやすい状況であることのたとえ。   
   また、危険であることのたとえ。



猫に鰹の番  ねこにかつおのばん
猫に鰹節を預ける  ねこにかつおぶしをあずける
猫に乾鮭  ねこにからざけ
猫に魚の番  ねこにさかなのばん  
   もっとも不適当な行いをする事をたとえていう。


猫が肥えれば鰹節が痩せる  ねこがこえればかつおぶしがやせる
   一方で猫が太れば、猫に食われた鰹節は痩せてしまう。
   一方がよければ他方は悪くなる事のたとえ。



猫が乾鮭銜えしよう   ねこがからさけくわえしよう
   猫が乾鮭を加えこんだよう。    
   大好物を得て満足げなさまをいう。



魚を猫に預ける  さかなをねこにあずける
魚を猫に番さするが如し  さかなをねこにばんさするがごとし   
   最も危険な相手にものを預けるたとえ


猫を追うより魚をのけよ  ねこをおうよりさかなをのけよ
   魚を盗まれぬよう猫を追い払うより魚を取りのけるほうがよい。   
   末梢的な事にこだわらず根本を正せというたとえ。



鰹節を猫に預ける  かつおぶしをねこにあずける   
   災いの原因を引き起こし、助長することのたとえ。



猫に木天蓼  ねこにまたたび
猫に木天蓼お女郎に小判  ねこにまたたびおじょろうにこばん
猫に木天蓼、泣く子に乳  ねこにまたたび、なくこにちち
   大好物をたとえていう。また、機嫌を取るのに効果的な物のたとえ。



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猫と鼠のことわざ・たとえ 他


猫がいないと鼠が遊ぶ  ねこがいないとねずみがあそぶ
猫の留守は鼠の代  ねこのるすはねずみのだい
猫さえ居らなきゃ鼠の代盛り  ねこさえおらなきゃねずみのよざかり
   猫さえいなければ、鼠の天下だという事


鼠窮して猫を噛み人貧しゅうして盗みす  ねずみきゅうしてねこをかみひとまずしゅうしてぬすみす
  鼠が追い詰められて切羽詰まった末に猫に噛みつくように、
  ひとも貧窮するとやむなく人の物を盗むようになる。



猫に会った鼠  ねこにあったねずみ
猫に追われた鼠  ねこにおわれたねずみ
猫に鼠  ねこにねずみ
猫の前の鼠  ねこのまえのねずみ  
猫に鼠を預けたように  ねこにねずみをあずけたように
   すっかり畏縮して、策略などが浮かばないこと。また、危難をのがれることができないさま。



鼠捕らず  ねずみとらず
鼠捕らぬ猫  ねずみとらぬねこ   
   鼠を捕らない猫。常に腹いっぱい食べている猫。   
   転じて、役に立たない者。   
   食うだけで何の役にも立たない者をたとえていう。



鼠捕らずが駆け歩く  ねずみとらずがかけあるく   
   鼠を捕らない猫は、走り歩くばかりで一向に役に立たない。   
   役にも立たない者が、職を求めて忙しそうに奔走するさまをいう。



鼠捕る猫は爪を隠す  ねずみとるねこはつめをかくす
   優れた才能や力のある者は、平素それをむやみに人にひけらかすようなことはしないというたとえ。



鼠無きを以て捕らざるの猫を養う可からず  ねずみなきをもってとらざるのねこをやしなうべからず   
   害をなす鼠がいないから、鼠を捕る能力がない猫でも
   差支えが無いといって飼っておくべきでは無い。   
   無能の物は養っておけない。



鳴かぬ猫は鼠を捕る  なかぬねこはねずみをとる   
   口数の少ない者の方が実行力があることのたとえ。



鳴き猫は鼠を捕らぬ  なきねこはねずみをとらぬ
鳴く猫鼠捕らず  なくねこねずみとらず   
   口数の多い者にかぎって実行がともあわないことのたとえ。



窮鼠猫をかむ  きゅうそねこをかむ
窮鼠かえって猫をかむ  きゅうそかえってねこをかむ
   弱者でも追い詰められると強者に逆襲する。
死に物狂いになれば、弱者でも強者を苦しめる事があるというたとえ。



猫の鼻先に鼠を置くよう  ねこのはなさきににずみをおくよう   
   非常に危険な事をたとえていう。



猫の鼻先の物を鼠が狙う  ねこのはなさきのものをねずみがねらう
猫の額の物を鼠が伺う  ねこのひたいのものをねずみがうかがう
鼠が猫の物を狙う  ねずみがねこのものをねらう
   危険を恐れない大胆不敵な行為、また、到底不可能な事をたとえていう。



猫の鼠捕らず  ねこのねずみとらず   
   猫が鼠を捕らない事。しなければならない事をしないこと。



猫が鼠を捕るようなもの  ねこがねずみをとるようなもの
猫の鼠を伺うよう  ねこのねずみをうかがうよう
猫の鼠を狙う如し  ねこのねずみをねらうごとし    
   猫が鼠を狙っているようである   
   獲物を狙うさまをいう。

   いたって簡単である事のたとえ



猫の鼠を捕ったよう  ねこのねずみをとったよう   
   猫が鼠を捕らえた時のようなさま。   
   とくいなさまをいう。



猫の前の鼠の昼寝  ねこのまえのねずみのひるね   
   危険がせまっているのに気付かないで油断している事のたとえ。



手袋をはめた猫は鼠を取らぬ  てぶくろをはめたねこはねずみをとらぬ   
   気取っていては仕事にならない。
   真剣に取り組まなければ仕事は達成できないというたとえ



雀の上の鷹、猫の下の鼠  すずめのうえのたか、ねこのしたのねずみ   
   非常に危険が迫っていて避けがたい事のたとえ。また、下位の者に強く上位の者に弱いことともいう。



三年になる鼠を今年生まれの猫子が捕える  さんねんになるねずみをことしうまれのねこごがとらえる
  優れた人物は小さい時から人並み外れた才能をあらわすこと。
  また、大人が子供にやりこめれれることにもいう。



猫住吉の社前を過ぐれば鼠を捕らず  ねこすみよしのしゃぜんをすぐればねずみをとらず
   「住吉」は大阪市にある住吉大社の事



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猫と芸者・遊女のことわざ・たとえ 他


猫 ねこ    
   ・三味線。
   ・芸者。
   ・私娼【公に営業許可を受けていない娼婦】の隠語。



三毛猫  みけねこ
   芸者



山猫  やまねこ
   ・江戸時代の私娼【公に営業許可を受けていない娼婦】のこと。
   ・江戸時代の僧侶相手の私娼。
   ・芸の下手な芸者。



金猫  きんねこ
  江戸時代、金一分で買う私娼のこと。


銀猫  ぎんねこ
  江戸時代、銀二朱で買う私娼のこと。


三味線貼るのは猫の皮、芸者の言う事は嘘の皮  しゃみせんはるのはねこのかわ、げいしゃのいうことはうそのかわ   
   芸者の言葉に実のない事をいった俗謡の一節。



傾城は猫  けいせいはねこ
傾城は猫になる  けいせいはねこになる
猫は傾城の生まれ変わり  ねこはけいせいのうまれかわり
猫はおやまの生まれ変わり  ねこはおやまのうまれかわり    
   【傾城→遊女】 《傾城とは元来、城を傾けるほどの美人という意味だった。≫
   猫の性質が遊女のそれに似ているところから、遊女は猫の生まれ変わりであるという俗説。



芸妓の心と猫の鼻はいつも冷たい  げいこのこころとねこのはなはいつもつめたい
傾城の心と猫の鼻はいつも冷たい  けいせいのこころとねこのはなはいつもつめたい
   芸娼妓の客に対して冷淡な事をいう。



猫の鼻と傾城の心は冷たい  ねこのはなとけいせいのこころはつめたい   
   猫の鼻と遊女の本性は常に冷たいものだ。



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悪口・はやし言葉


因幡烏に伯耆猫  いなばからすにほうきねこ   
  因幡地方(鳥取県東部)の人の言葉は烏の鳴き声のようでもあるし、
  伯耆地方(鳥取県西部)の人の言葉は猫のようだという悪口。



竜野訛りは猫でも訛る  たつのなまりはねこでもなまる   
   兵庫県竜野地方の方言は、訛りがはなはだしいことをいう。



上に居るもの天王様、下に居るもの猫の糞  
               うえにおるものてんのうさん、したにおるものねこのくそ   
   子供が高い所に上った時、下の物を見下してはやす言葉。



猫でない証拠に竹を書いておき  ねこでないしょうこにたけをかいておき  
   虎を描いたが、猫に間違われないように竹を描き加えておく。
   下手な絵、下手な絵書きをあざけっていう川柳

   
   

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その他




猫  ねこ    
   ・鼻【猫の寝姿に似ていることから】
   ・熱いものを食べえない人。
   ・裸足で土間、庭などに下りてそのまま座敷へ上がる人の事。

   ・主に木工職人が冬場の作業着として着用する袖無しの綿入 防寒着。
   「着ると猫背になる」が、諸説ある名の由来の一つ。
    

猫足  ねこあし
   猫の脚に形が似ていることから
   机などの脚が丸く曲がり、その下部が内側に向いて丸く膨れているもの。


猫いらず  ねこいらず   
   鼠の駆除用の薬のこと。



猫の舌  ねこのした
   藤豆


猫おろし  ねこおろし  
猫の食い残  ねこのくいわけ 
   猫が食い残したものをいう。


山猫争議  やまねこそおぎ
   組合の決議などによらず、各自が職場放棄などをやる無統率争議。



猫瓶
  昔、駄菓子屋等で見られた、口が斜めについた透明の瓶。
  丸いものは丸猫瓶、角ばったものは角猫瓶、
  ガラス製あるいはプラスチック製がある。



猫まんま  ねこまんま
  ご飯に鰹節をかけたもの。
  ご飯に味噌汁をかけたもの。昔、ペットに与えていた人間の残飯。

  

猫毛  ねこっけ
  柔らかい髪質の事。腰がなくまとまりにくい。


猫板  ねこいた
  長火鉢に渡した板。または箇所の事。古民具。


猫つぐら  ねこつぐら
猫ちぐら  ねこちぐら
  藁で編まれた猫用の寝床。東北の民芸品。


猫車  ねこぐるま
  工事用・農耕用の手押し車・一輪車のこと。
  語源は、車輪のきしむ音が猫の声に似ているから。



猫行火  ねこあんか
  炭を入れた小さな一人用暖房器具。古民具。


猫手 ねこて
  戦国時代に忍者が使用したとされる小型武具の一種。
  各指にはめる金属製指サック状の猫爪型武器。



猫げら  ねこげら
  小型の蓑。古民具。


猫柳  ねこやなぎ
  春に柔らかな銀白色の花穂を付ける落葉性の柳で、主に川辺などで見られる低木。
  花穂が猫の尻尾のように見える事が由来。
  花穂が黒色の『クロネコヤナギ』、花穂がピンク色の『ピンクネコヤナギ』もある。


猫の針  ねこのはり
  柊(ひいらぎ)の事。
  トゲトゲの葉の形状から、猫もこの木には昇れまいという事から来ている。



猫毛雨  ねこんけあめ
  佐賀県唐津市では小雨を、また宮崎県日向では霧雨のことを言う。
  こまかな雨を猫のやわらかな毛にたとえたものであるという。



猫パンチ  ねこぱんち
  猫が前足で繰り出す牽制的な高速パンチ。
  パンチというよりは、叩くような力の乗らないパンチ。



猫キック  ねこきっく
  猫が後足で繰り出す、寝技による連続キック。
  キックというよりは、『前足抱え込み』からの『後足引っ掻き』攻撃。



猫の恋  ねこのこい
猫の妻  ねこのつま
うかれ猫  うかれねこ
戯れ猫  たわれねこ
   俳句における春の季語。



ぬこ  
  インターネット(主に2ちゃんねる)上における猫の呼び名。




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洒落た言い回し


犬と猫の夫婦でにやわん  いぬとねこのふうふでにやわん
猫の鳴き声「にや」と、犬の鳴き声「わん」  ねこのなきごえ「にや」と、いぬのなきごえ「わん」 
   猫と犬は仲が悪いところから、似合わないことをしゃれていう。
   猫と犬の鳴き声を合わせた「ニャア」「ワン」と「似合わん」とをかけたしゃれ。



鼠捕る猫にゃんとも言わぬ  ねずみとるねこにゃんともいわぬ
   優れた才能や力のある者は、平素それをむやみに人にひけらかすようなことはしないというたとえ。


猫の死んだがでにゃんともいわん  ねこのしんだがでにゃんともいわん
   猫の鳴き声に、何とも言わないをかけたしゃれ。  土佐諺



猫の頬冠り後ろへ這う  ねこのほおかむりうしろへはう   
   後戻りする事をしゃれていう。



死んだ猫の子  しんだねこのこ   
   「にゃんとも云わぬ」に「何とも云わぬ」をかけたしゃれ。



雪隠へ落ちた猫  せっちんへおちたねこ    
   【雪隠→便所]】   
   汚なくて手が付けられないところから、つかまえ所がないことをいうしゃれ。



猫寝子にゃあご  ねこねこにゃあご   
   春の彼岸頃に生まれた猫は、良く鼠を捕るが、田植え時に生まれた猫は寝るばかり、
   土用に生まれたのは鳴くばかりで役に立たない事。



猫の金玉  ねこのきんたま
   かぼちゃ  【南瓜→なんきん→にゃん金と洒落て】



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犯罪用語・隠語


猫 ねこ    
   ・良く眼がつくこと。刑事、巡査、警察官の隠語。
   ・戸・窓の落とし栓をこね外す道具の隠語。
   ・昔、刑務所内で使われた隠語で、自殺したり病死すること。猫いらず【毒】を飲んだ自殺者の隠語。



猫入り  ねこいり
  窓、或いは屋根を破り押し入る窃盗の事。


猫を抱く  ねこをだく 
   酒の原料の玄米を盗むことの隠語(盗人用語)。



猫を鳴かす  ねこをなかす
   地方から出てきた男女を騙して金品を巻き上げる事の隠語(詐欺師用語)。



山猫会社  やまねこがいしゃ
   設立するや暴れまわって、間もなく姿を消すいんちき会社。


猫する  ねこする    
   こっそりと盗む。ねこばばする事をいう。



赤猫   あかねこ
  火事のこと。


赤猫を負わせる  あかねこをおわせる
赤猫を這わせる  あかねこをはわせる   
   盗賊仲間の隠語で、火事や放火する事をいう。



猫糞  ねこばば
   犯罪用語で、盗んだ金品を土中に隠す事。
   委託された金品の横領消費の事。



猫の尻尾  ねこのしっぽ
   看守の下役人の隠語。



猫の眼  ねこのめ
   懐中時計、銀貨の隠語(スリ師)。


猫引  ねこひく
  女の笑い声


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性語


猫ちゃん  ねこちゃん
  女性器


猫に鰹節  ねこにかつおぶし
  若き男性のそばに、若き女性を住まわせておく事。

黒猫  くろねこ
  女性器


猫撫  ねこなで
  ・女の自慰。
 
 ・女陰を撫でる事。
  ・男子手淫方法の一つ。


にゃん
  女の自慰。


にゃんにゃん
  性交。特に未成年男女の性交をいう。


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呼び名


烏猫  からすねこ
   真黒な猫のこと。


とら・こま・かな
   江戸時代における、飼猫の呼び名。
   とら・・・その姿が虎に似ているから。
   こま・・・ネコマの省略、または高麗(こま)の意味。
   かな・・・唐の国より書籍を取りよせ納めた「金沢文庫」で鼠除けとして飼われたから。



ネコ・トコ・ヘコ  
  千葉 神奈川の俗信
   月の初旬に生まれた猫は鼠を良くとるので『ネコ』と呼ぶ。
   中旬生まれは鳥をとるので『トコ』と呼ぶ。
   下旬生まれは蛇をとるので『ヘコ』と呼ぶ。  



ヨコザ  岩手
  沖言葉で猫の事。
  不漁等の俗信的理由から、海上で「ネコ」という言葉を口にするのを忌む為、代わりに使用した呼び名。


ヒゲ  土佐 高知
クチヒゲ  伊予
ケ  伊予
ヨモ  飛騨
マガリ  津軽
チョッカイ  阿波
チョータ  岡山
トリ・トリスケ  兵庫
   山言葉で猫の事。
  不猟等の俗信的理由から、山中で「ネコ」という言葉を口にするのを忌む為、代わりに使用した呼び名。







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参考文献
鈴木棠三(1947)『日本俗信辞典 動・植物編』角川書店』
楳垣実(1956)『隠語辞典』東京堂出版
故事ことわざ研究会(1976)『動物の格言諺辞典』アロー出版社
岡田章雄(1980)『日本人の生活文化史1 犬と猫』毎日新聞社
尚学図書(1982)『故事・俗信 ことわざ大事典』小学館
中川志郎(1988)『ことばの民族学A「動物」』創拓社
中村明(1996)『たとえことば辞典』東京堂出版
高橋秀治(1997)『動植物ことわざ辞典』東京堂出版
日本民具学会(1997)『日本民具事典』ぎょうせい
柴田千秋(1998)『性語辞典』河出書房新社
東澄義(?)『ことわざ辞典』文進社
木村義人 小出美河子(2000)『隠語大辞典』皓星社
高橋純子(2001)『雨の名前』小学館
佐藤亮一(2004)『標準語引き 日本方言辞典』小学館
高橋純子(2005)『花の名前』小学館







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