魔性の動物…「猫」の秘密 |
|
|
化け猫 深夜「ペチャッ・・・ペチャッ・・・」と、行燈の油を舐める怪しい影・・・ その体は人間なのに、行燈に映し出された影はまさに『猫』の姿。 ゆっ〜くりと振り向き、「見〜た〜な〜!」 これぞジャパニーズホラー最高峰の名シーン。 そんな『化け猫』話について語りたいと思います。 化け猫騒動とは 『佐賀鍋島の化け猫騒動』あらすじ 七尾の猫 描かれた化け猫 化け猫騒動とは 江戸時代より講談や演芸、演劇・芝居に脚色され、全国的に知れ渡った化け猫騒動。 「猫」と「怪談」の取り合せがよっぽど良かったのか、さまざまな怪猫騒動が創作されてきました。 特に有名なのが ●『佐賀鍋島の怪猫』 ●『岡崎の猫』 ●『芝赤羽の有馬屋敷の化け猫騒動』 であり、これを 『三大化け猫騒動』 とする場合が多いようです。 その他にも、ざっと探しただけで下記のような「猫物語」があるようですが、詳細につきましては確認できておりませんので、今後調べていく予定でいます。たぶん、全国各地に郷土色豊かな化け猫話が数え切れないほどあると思われます。 阿波猫騒動 相良猫騒動 根岸猫騒動 阿波化け猫騒動 薄雲の猫 小幡小平次死霊の猫 乃至は海老屋の猫 山吹の猫 一厳寺の猫 赤壁明神 山王の山猫 所沢の勘七猫 市川団十郎の猫 按摩玄哲の猫 熊谷宿の鍋提猫 本所の服部猫 浦賀の唐茄猫 千本おみわ猫 品川の猫酒屋 京都の樫本猫 基本的にそれぞれ「化け猫騒動」の話は創作であり、実際に起きた事件ではないようです。 一番有名な『佐賀鍋島の化け猫騒動』もやはり創作話なのですが、その背景には史実として、鍋島家と竜造寺家のお家騒動があったといわれております。 尚、【佐賀化け猫騒動】だけでも大きく分けて二通りの物語系統があり、『佐賀怪猫伝』『佐賀の夜桜』『佐賀猫退治』『嵯峨奥猫魔稗史』など、数多く脚本されました。 登場人物なども微妙に違った話がいくつもあり、当時の人気をうかがい知ることが出来ます。 『化け猫』話というと、どうしてもその怪異性が強調され気味ですが、話の基本としましては ●猫だけが真実を知っている… ●飼い主の無念を晴らす為に復讐をする… ●最後には退治されてしまう… この三点が話の基本であり、考えようによっては ものすごく美しく哀しい『忠猫話』だったりもするのです。
『佐賀鍋島の化け猫騒動』あらすじ 時は戦国時代。肥前国佐賀の鍋島藩二代目藩主・光茂は、鍋島家のかつての主家である龍造寺家の当主・又一郎を碁の対局中に惨殺した。 側近半左衛門により事件は隠蔽されたが、真相を知った又一郎の母で龍造寺家の後室・お政の方は、怒り悲しみ愛猫コマに復讐を託し、自分の血を舐めさせた後に亡くなる。 その後、鍋島家には怪猫が現れ、半左衛門の母が食い殺されたり、光茂の妻が頓死するなど怪事が次々と起こる。さらには光茂の愛妾お豊に化けて光茂をたぶらかしたり、子供をさらって喰うなど暴虐の限りを尽くしたという。やがて光茂が訳のわからぬ病気にかかるに及び、城内ではある噂がささやかれ始めた。 ・光茂が碁の上の争いから又一郎を手討にした事… ・半左衛門が密かに死骸を始末した事… ・数日後にその首が持ち去られたという事… ・自害した母の血が、まるで拭ったかのようになっていた事… ・この騒ぎと、廊下に残る動物の足跡… ・一匹残らず姿を消した泉水の鯉… ・そして又一郎の母が自害して以来、姿を消した漆黒の猫…。 側近半左衛門の思案により、家中随一の槍の名手・千布本右衛門を呼び、光茂の身辺警護にあたらせるものの、光茂の容態は悪くなるばかりであった。 しかし、千布本右衛門は忍耐強く見張った挙句、ついに愛妾お豊の正体を見抜き! ・・・朝の光の中、ついに恐ろしい化け猫の正体をさらしたのだった。 尚、鍋島家に関わりのある人々の間では、今も猫を飼う事が禁忌になっているという。 化け猫Topへ戻る
化け猫Topへ戻る 描かれた化け猫
参考文献 東京毎夕新聞 大正三年1/12〜6/20 山田米吉(1964)『画報 伝説と奇談 第17号 西日本編』山田書院 山田米吉(1964)『画報 伝説と奇談 第19号 旅と伝説』山田書院 渡部義通(1968)『猫との対話』文藝春秋 加太こうじ(1971)『紙芝居昭和史』立風書房 柏三平(1977)『江戸挿絵文庫 第一巻 猫物語』すばる書房 水野稔(1980)『図説 日本の古典19 曲亭馬琴』集英社 平岩米吉(1985)『猫の歴史と奇話』池田書店 中野光敏・肥田皓三(1985)『近世子供の絵本集 上方篇』岩波書店 伊藤清司(1989)『ふるさとの伝説3 幽霊・怨霊』ぎょうせい 岩井宏實(1990)『図説 日本の妖怪』河出書房新社 高橋洋二(1991)『別冊太陽 子供の昭和史 少女マンガの世界T』平凡社 相川仁童(1994)『紙芝居大系 第7巻』大空社 相川仁童(1995)『紙芝居大系 第9巻』大空社 丹野清和(1995)『アサヒグラフ別冊 戦中戦後紙芝居集成』朝日新聞社 高橋洋二(1996)『別冊太陽 子供の昭和史 少年マンガの世界U』平凡社 高橋一平(1996)『ガメラ画報 大映秘蔵映画五十五年の歩み』竹書房 山田誠二(1997)『幻の怪談映画を追って』洋泉社 太田記念美術館(1997)『特別展 UKIYO-E DOG&CAT』太田記念美術館 古川益三(1998)『まんだらけZENBU 1』まんだらけ出版部 少年社(1999)『妖怪の本』学研 小島瓔禮(1999)『猫の王-猫はなぜ突然姿を消すのか』小学館 アダム・カバット(1999)『江戸化物草紙』小学館 アダム・カバット(2000)『大江戸化物細見』小学館 原口智生・村田英樹(2000)『別冊太陽 日本恐怖映画への招待』平凡社 朝日新聞社 文化企画局大阪企画部(2000)『「大妖怪展」図録』朝日新聞社 国立歴史民俗博物館(2001)『異界万華鏡-あの世・妖怪・占い-』国立歴史民俗博物館C アダム・カバット(2003)『江戸滑稽化物尽くし』講談社 錦谷雪(2005)『絵入 川柳妖異譚』三樹書房 香川雅信(2005)『江戸の妖怪革命』河出書房新社 国際浮世絵学会編集委員会(2006)『浮世絵芸術 第152号(会誌)』国際浮世絵学会 佐藤光信(2006)『CATS OF MANY VARIETIETIES』財団法人 平木浮世絵財団 アダム・カバット(2006)『ももんがあ対見越入道 江戸の化け物たち』講談社 鈴木常勝(2007)『紙芝居がやってきた!』河出書房新社 姜竣(2007)『紙芝居と〈不気味なもの〉たちの近代』青弓社 京都国立博物館(2008)『絵画の冒険者 暁斎Kyosai 近代へ架ける橋』京都国立博物館 纐纈久里(2008)『大屋書房 妖怪カタログ』大屋書房 宮東洋一(2008)『日本妖怪大百科 VOL.7 』講談社 山下昌也(2010)『図解日本おもしろ妖怪列伝』講談社 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Copyright (C) 2010-2018にゃん古譚 All Rights Reserved |