猫奇伝
    魔性の動物…「猫」の秘密
  
     
   可愛いだけが
  猫じゃニャィ!















早物語


早物語とは、昔琵琶法師の語りの合間に、その弟子などが早口に語ったものです。
暗記と口まめとを争うもので、「物語」「テンポ物語」「テンポウ物語」「チョブキリ」などとも呼ばれています。
その後、酒盛りや目出たいお祝いの座敷などで語られてつつ、今に伝わったそうです。



猫と鼠の大戦争  山梨県南巨摩郡硯島村

鼠の住み家はどことどこ。ケタンダル木に竹ダルコ。
あまりことの淋しさに、今日鎌倉へカントウさげて出でられる。
さるとこに御堂あり。立ち寄ってみたら、トーガイに油あれあれ。
一すやすやばやと、あたりをはってみておれば、
大きなる灰毛なる猫殿が、居眠りかいて参られる。
親重代のカナクマ一丁もち、爪はりはりとぶっ貫き、
ああ痛いなあ、のう猫殿、明日のうちには鰹がくる。
なんの鰹だらに、ウヌの頭に鰹はある。
鼠の頭のギリギリ骨から、尻尾のギリギリ骨まで、
ムンリ、ガンリとひっ噛まれ。猫と鼠の大戦争でした。


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小野忠孝・土橋里木(1974)『日本の民話 上州・甲斐編』未来社